【水素水】本当に体にいいの?その効果と最近の論争について解説
テレビや雑誌で紹介されて以来、水素水がちょっとしたブームになっています。
何でも、美容や健康、アンチエイジングに良いと言うことで、多くの芸能人やスポーツ選手などが愛用していることも、ブームの後押しになっているようです。
しかし、ここに来て水素水の効能に疑問を呈する意見も出てきています。
確かに、人間の成人の体の約六割は水分なので、水を取ることはいいことだというのは判りますが、果たして、水素水には効果があるのでしょうか。
ここでは、水素水の効能や水素水に対する否定的な意見とその反論などについて紹介します。
水素水とは何でしょうか?
水素水とは、水に一定以上の水素が含まれたものです。
この水素というのは、原子番号1の物質で、原子の中では一番小さくて軽いものです。
国立健康・栄養研究所によれば、水素水の調製法は三つに分類されます。
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- 水素ガスを充填する方法
- 化学反応による方法(マグネシウムと水、あるいはアルミニウムと酸化カルシウムと水)
- 水の電気分解による方法(還元水素水、アルカリイオン水、電解水素水などと呼ばれます)
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この水素水のブームのきっかけになったのが、日本医科大学大学院の太田成男教授による発表です。
この発表とは、2007年に世界的な医学雑誌である「ネイチャー・メディシン」に、水素ガスが「虚血再灌流障害」という疾病の治療に役立つというものです。
以来、水素の健康面へに影響に関する研究が相次ぎ、太田教授によると400以上の論文が発表されているそうです(2016年2月29日時点。そのうち、人体への臨床研究の論文は約20)。
水素水にはどんな効果があるの?
これまでに水素の健康面への研究がなされてきていますが、そこでは水素に関していくつかの効果があると言われています。
抗酸化作用
私たちの体は、何と約60兆個の細胞から構成されています。
その細胞に中には、私たちの体を動かすのに必要なエネルギーが作られています。
ミトコンドリアという直径約0.001ミリほどの大きさの器官がその役割を果たしています。
ミトコンドリアの中では、私たちが食物から取り込んだ糖分と肺から取り込んだ酸素が反応し、活動エネルギーが作られます。
ミトコンドリアは、まさに体の中にある「工場」と言えます。
このエネルギーを生み出す過程で、取り込んだ酸素が全て使われるわけではなく、いくらかは体の中に残ってしまいます。
この残った酸素が「活性酸素」になります。
活性酸素というのは、私たちの細胞やDNAを傷つけ、病気や老化の原因になると言われています。
水素は、この活性酸素と結びつくことで、それを水に変えて体の外に排出する機能があります。
これを抗酸化作用と言います。
抗炎症作用
炎症は外傷、やけど、細菌の侵入、薬物、放射線の作用などの外部からの刺激に対して,自分の細胞を排除して生体の恒常性を維持しようという防御的反応のことです。
その反応の結果、充血、はれ、発熱、痛みなどの症状が起きます。
水素は炎症を促進させる活性酸素を除去する働きがあります。
抗アレルギー作用
アトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギーに悩んでいる人は多いかと思います。これらのアレルギーにも活性酸素が関わっていると言われており、水素はアレルギー症状を緩和する働きがあるようです。
エネルギー代謝促進効果
九州大学と千葉大学の2013年の共同研究によると、水素を飲むことで胃から成長ホルモンの分泌を促進するグレリンというホルモンが出ることが判明したということです。
成長ホルモンは、筋肉や骨の維持だけでなく、エネルギーの消費や脂肪の分解を促して、肥満やメタボの防止に役立つ重要なホルモンです。
水素水の効果に対する疑問とそれに対する反論
ここまで見ると、水素を含んだ水素水ってなんだか大変体にいいものじゃないかと思ってしまいますよね。
しかし、最近になって水素水の効果について、疑問が投げ掛けられています。
それらの疑問とそれに対する水素水の研究者の反論を紹介します。
国立健康・栄養研究所の発表
2016年6月に国立健康・栄養研究所がホームページで、水素水がヒトでの有効性について信頼できる十分なデータが見当たらないと発表しました。
これに対して、日本医科大学大学院の太田成男教授は、すでに信頼できる十分なデータがあるなら、研究する必要はないわけと良い、
同研究所の表現を特に問題視していないようです。
ただ、その発表を断片的に水素水の効果について批判する報道には、疑問を呈しています。
エセ科学批判
明治大学の石川幹人教授は著書「なぜ疑似科学が社会を動かすのか」の中で、文明が発展した現代社会で、健康食品が一番の疑似科学であると指摘しています。
また、水素水に関しては、その作用の仕組みが判らないのに、抗酸化作用があるというのはおかしいとし、特に胃酸などの消化官内の
水分との相互作用で、効果が出ないのではとみています。
これに対して、太田教授は批判の対象が、活性水素水(電解還元水)であり、水素とはは異なると反論しています。
現時点での結論
水素水に関しては、肯定派・否定派の双方が主張を展開していますが、それらの主張を見ると、
「まだ、効果があるのかどうかが十分に研究が行われていない段階である」と言えそうです。
肯定派の太田教授自身も自らのサイトの中で、
水素水を飲んだときに4割は体内で何らかの反応によって消費されることが証明されています。水素分子は生体内で何らかの反応を起こしているという明確な証拠です。
と「何らかの反応」と言っており、その詳細なメカニズムまでは突き止められていないようです。
いずれにしても、結論が出るまではまだ少し時間がかかりそうです。
参考:水素水の選び方
まだ白黒はっきりしていない段階ですが、今あえて水素水を試してみようと思った場合、商品を選んだり、実際に飲むときにどんな点に気をつければ良いでしょうか。
容器
水素は非常に小さな分子からなる物質だけでなく、非常に良く動く性質(拡散性)があります。
このため、水の中に充填されても水の中を活発に動き回り、時には容器の間から抜け出す事があります。
通常のペットボトルだと簡単に抜け出てしまい、水素水はただの水になってしまいます。
なので、水素が逃げ出さないアルミのパックに入った商品を選びましょう。
温度
冷たい水が苦手な人も多いかと思います。
しかし、水素水は煮沸しないでください。
水素水の拡散性がさらに強まってしまい、水素の粒が逃げやすくなってしまいます。
どうしても温めたい場合は、湯煎をすることをお奨めします。
飲みきる時間
いったん開封すると、早く飲みきるようにしてください。
目安は二〜三時間くらいです。
どのくらい飲めば良いか
目安は一日500ミリリットルくらいと言われています。
毎日飲み続けることが大切です。
最後に
いかがでしたか。
まだ、その効果が実証されていないとはいえ、多くの人が水素水を愛用しているのも事実です。
インターネットやマスコミではいろいろな情報が流れるので、真偽を見極める目も養いたいものです。
なお、活性酸素やについて詳しく知りたい方はこちらも参考にしてください。
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