コンサルタントが「高級文房具化」するとは?
経営コンサルタントの仕事というのは、発注元であるクライアント企業の経営に関する課題を解決するために、様々な支援をすることです。
また、クライアント社内において、課題の解決のために合意形成を進めるということもします。
これは、あるテーマに関して、社内に異なる意見がある場合、社員だけで進めようとすると部門間の対立ということにもつながることがあるので、第三者である経営コンサルタントが中に入って、組織にとって最善と考えられる方向性を導く手助けをします。
ある意味、クラアイントにとって、うまくコンサルタントを活用する方法です。
目次
コンサルタントの上手い活用方法とは?
かって、ある資材メーカーの経営支援をしたときの話です。
この会社は外資系の企業で、本社としては日本市場のてこ入れを図りたいと考え、外部から営業活動を統括する本部長を採用しました。
この営業本部長のA氏は、この会社が製造・販売している製品とは異なる業界から来られましたが、外資系のメーカーで永らく営業活動をされてた経験があります。
本部長の着任にあわせて我々の経営支援も始まりました。
我々のメインの依頼は、他にあったのですが、本社からは、できるだけ早く営業部門を統括してもらうために、我々コンサルタントに様々なサポートをしてもらいたいという意向を伝えられていました。
最初に本部長との顔合わせの時にも、我々のサポートの意味合いについて触れ、「社内に言いにくいことがあったら、我々が代わりに伝えますので、何なりと言って下さい」と
伝えました。
しかし、この本部長からの依頼は、なかなか出てこない状況が続きました。
我々の方も気を揉んで本部長に確認しますが、
「わかっています」というだけで一向に改善しません。
我々もメインの活動を終え、その会社との契約は終了しました。
半年くらい経って、その会社の方と話す機会があったのですが、結局その本部長は目立った成果も出せずに辞められたと言うことでした。
私から見ても、A氏っは営業の経験も豊富で、こちらの説明に対する理解力も高く、そんなにすぐに辞められたという報せは驚きでした。
今にして思えば、そういう経歴を持った方だったために、ご自身のプライドが邪魔をしていたのかもしれません。
ご自身は、全く知らない業界とは言え、自分の経験があれば、他に頼らなくても営業部門をまとめて、さらに業績を伸ばせると考えていたのでしょう。
逆に、コンサルタントを使うと、周りから「あの人、わかっていないね」と言われるのを恐れていたのかもしれません。
「高級文房具」化するコンサルタント
しかし、コンサルタントはクライアントのためであれば何でもやればいいかと言うと、必ずしもそうとは言えません。
最近、大手と言われるコンサルティング会社の仕事を手伝ってもらえないかという依頼があり、B社に話を聞きに行きました。
ここ最近、大手のコンサルティング会社への引き合いは減ることはなく、人手が足りないので逆に断っていることもあるそうです。
しかし、具体的な話の内容を聞くと、少し違和感を感じるものでした。
たしかに、コンサルティング会社に発注されるプロジェクトというのは、期間も決められており、限られた時間の中で成果物を出していかなければなりません。
そのため、作業のスピードが求められる場面があり、どうしてもコンサルティング会社側で引き受けてしまうということがあります。
同時にプロジェクトに期限があるため、経営課題によっては成果が出るまでに時間のかかるものもあり、コンサルティング会社が最後までサポートできないこともあります。
その場合、コンサルタントがいなくなっても、クライアントで「自走」できるような仕組みづくりやスキル・ノウハウの移転などを行わなければなりません。
しかし、先ほどのB社の例のように、最近コンサルティング会社がクライアントがすべき業務を「下請け」しているケースが多く見られるようになりました。
業界ではこのような傾向をコンサルティング会社の「高級文具化」と言っています。
しかし、経営コンサルタントの本来の役割からしたら、このような高級文具化といのは明らかに逸脱していると言わざるを得ません。
クライアント企業の現場の管理職にとっては、忙しい中で作業が進むので非常にありがたい存在です。
一方で、経営者の立場に取ってみると、社員でもできる作業を非常に単価の高い外部に依頼しており、コストパフォーマンスの高いものになっています。
「お客様から依頼されているから」と理由で受けていると、やがて競争相手がコンサルティング会社ではなく、人材派遣会社になるような気がしてなりません。
最後に
本日の記事はいかがでしたか。
自分も「高級文房具」にならないよう常に意識しておきたいものです。