理想の上司ってどんな人? ランキングには表れない八つの特性とは

理想の上司ランキングって知っていますか。

毎年、調査会社や保険会社が発表しているもので、旬の芸人やスポーツ選手などランキングの上位を連ねています。

例えば、ある保険会社の発表したレポートを見てみると、調査はその年の新入社員を中心に、「バラエティ」「スポーツ選手・監督」「俳優・歌手」「文化人」の四つの部門から理想の上司を選んでもらっています。

それでは、具体的にどのような点が理想の上司と考えられているのでしょうか。

調査では、次の項目が理想の上司を構成していると考えられています。

  • 実力がある
  • 指導力がある
  • 頼もしい
  • 親しみやすい
  • 知的・スマート
  • おもしろい
  • 落ち着きのある
  • 明るい
  • 天才肌
  • 優しい
  • 熱血
  • 兄貴肌

この調査レポートを見て、イメージ的な側面の強い選択肢が多く、組織をリードする上司を評価する項目としては、どうもしっくりこない印象を持ちました。

このなかであえて言えば、「指導力がある」くらいが組織をリードする際に必要な要因と言えそうです。

みんな仲良く楽しくやれば結果が出るのであれば、「おもしろい」や「明るい」などは重要な要素になるかとは思われますが、それだけでは上手くいかないです。

それでは、上司としてどのような特性を備えておかなければならないでしょうか。

エグゼクティブコーチングの第一人者であるマーシャルゴールドスミス氏は、Thinker50 Blogで「リーダーシップはコンタクトスポーツだ」を、The Leader of the Futureにおいて「質問し、学習し、フォローアップし、そして成長する」という論文を発表し、リーダーとしての必要な行動特性とその効果を解説しています。

 

 

リーダーシップはコンタクトスポーツだ

エグゼクティブ・コーチとしての私のキャリアは、何年も前にフォーチュン100社のCEOからもらった一本の電話から始まった。

私はちょうど、そのCEOの人事部門に対してリーダーシップ診断を終えたところだった。私が1980年代の後半に、人事部門に企業の将来のリーダーを特定し、彼らをより良いリーダーにするプログラムを作り出すことについて助言をしていた。

そのCEOは、セッションに出席しており、私の教えたことから私が副社長を手助けてできると思った。

その副社長は、非常に聡明で、献身的で、やる気があり、よく働き、創造的だったが、頑固で、自説を曲げず、何でも知っているという人でもあった。

私はこの課題に惹きつけられた。

私はこれまで今にも成功しようとしているが、まだ大きな成功を収めていないが、より上に飛び出すためには変化が必要な多くの中間管理職にコーチングをしてきた。

私はこのような仕事では、成果ベースで報酬を受け取っている。

もしその副社長が改善すれば、報酬を受け取るが、改善しなければ、コーチングは無料になるとCEOに告げた。

何十年か前には、私は報酬を受けなかったことがあった。それ以来、私は150以上のCEOとその経営チームと仕事をしてきた。

私の仕事は、誰かを聡明にしたり、お金持ちにしたりするものではない。

 

私の仕事は、人が仕事仲間をイライラさせる個人的な癖を特定し、組織への価値を保つためにその癖を取り除く手助けをすることだ。

 

そして、彼らが周りの人を育成するのを同様に手助けする。

なぜならば、ご存知のように、同僚や従業員やチームがなければ、それらのリーダーたちは、どんなに成功しようが、誰も率いる人がいないだろう。

リーダーとして成長することは難しい取り組みだ(あなたがこの記事を読んでいるなら、あなたは恐らく説明できるだろう)。

 

リーダーへの要望は増加している。

それは変革に注力する時間が少なくなっていることを意味している。

問題点は、リーダーとしてあなたへの期待が増えるにつれて、育成の時間が少なくなることだ。

にもかかわらず、リーダーシップスキルの改善は、今まで以上に重要になっている。
それは用心しなければならない状況だ。時間が制限されている中で、あなたは仕事について学ばねばならない。

取り巻くものを最大限に利用し、周りの人に手助けを求めなければならない。

自らと従業員とチームの育成に最善を尽くす時に、彼らの支持を得なければならない。

 

それは簡単ではない。

しかし、私は何千もの人たちに機能することが立証されているリーダーシップ開発モデルを開発した。

このモデルは八つのステップから成る。尋ねる、聞く、考える、感謝する、反応する、関与する、変化する、フォローアップするである。

以下に各ステップの非常に短い説明をする。

  1. 質問する:人に、「どうすればより良い(管理職、パートナー、チームメンバー等)になれるでしょうか」と尋ねる。
  2. 聞く:彼らの答えを聞く。
  3. 考える:彼らのインプットについて考える。それは何を意味しているのだろうか。
  4. 感謝する:この価値のあるフィードバックをあなたと共有してくれた人に感謝する
  5. 応答する:インプットをもらった時にポジティブに応答する
  6. 関与する:あなたの周りの人をあなたの変革の努力を指示するために関与させる
  7. 変化する:変化はアカデミックな演習ではない。学んだものを行動する。
  8. フォローアップする:定期的にフォローアップをする。そうすると利害関係者はあ
    なたが彼らのインプットに基づいてポジティブな行動をしていると気づくだろう。

 

リーダーシップ開発のこのシンプルなモデルは機能する!

 

もし、あなたが家庭や職場でより良くなりたいのなら、それをやってみて結果を見ることだ。

そして、あなたが今日までの全ての成功にも関わらず、「なお一層良く」なるために変えられる何かを持っているという可能性を考慮するのを手助けできる。

その時、私は自分の仕事をやり遂げるのだ。

 

質問する

「フィードバックを求めること」は、その言葉が意味していることそのものである。

それは、私たちが人から何が間違っているのか意見を求める時だ。

それはシンプルなように思えるが、いつもシンプルな訳ではない。

ほとんどの人はネガティブなフィードバックを扱うことにおいて、二つの問題を抱えている。

多くないと思えるが、大きな問題である。

 

一つ目は、私たちはネガティブなフィードバックを聞きたくない。

 

二つ目は、ネガティブなフィードバックを与えたくないのだ。

 

ネガティブなフィードバックを聞きたくない理由は、それが自己イメージと一致しないから拒絶してしまうのだ。

私が教えたクラスの95%の人間は、自分がグループの上位50%にいると信じているのを知っているだろうか。

統計的には不可能だが、心理学的にはあり得る。

成功した人たちに、彼らが「間違っている」と立証することは、彼らを変化させるのと同じくらいに機能する。

ネガティブなフィードバックをしたくない理由は、リーダーや管理職は、給与、昇進、雇用について権限を持っているからだ。

人が成功すればするほど、より多くの権限を持つようになる。

その権限とネガティブなフィードバックに対して予測できる「メッセンジャーを殺す」反応を結びつければ、なぜ人がネガティブなフィードマックを与えたくないかが判るだろう。

その他にも伝統的な対面のフィードバックには難しさがある。

そのほとんどは、過去の失敗に注目し、未来に向けたポジティブな行動に注目しない事実に要約される。

フィードバックは、私たちの失敗の感情を強化し、これに対する反応はほとんどポジティブではない。

何にも増して、ネガティブなフィードバックは、私たちの行動を停止させてしまう。私たちは正直で役に立つフィードバックが必要で、それを見つけるのは難しい。

それはフィードバックの何が間違っているかを充分説明している。

 

良いものを話してみよう。

フィードバックは、「私たちがどこにいるか」を告げるという点で非常に有益である。それがなければ、私はクライアントと働けなかっただろう。

クライアントの周りの人が、クライアントは何を変えるべきかと考えているかが判らなかっただろう。

同様に、フィードバックがなければ、私たちは良くなっているのか、悪くなっているのかが判らないだろう。

私たちは皆、自分がどこにいて、どこに行かなければならないかが判り、その道に沿ってどのくらい進歩しているかを測定するためにフィードバックが必要だ。

 

私にはそれを確実にする誰にでもできる方法がある。

私はクライアントと仕事をする時はいつも、コーチング・プロセスの始めに仕事仲間から極秘のフィードバックをもらっている。

私は各々人に助けてもらうようお願いし、変革プロセスを妨害しないよう支援することを望んでいる。

そのために私はこう言っている。

「私はクライアントと来年一緒に仕事をすることになりました。もしクライアントが良くならなければ、私は報酬を受け取りません。良くなったかどうかは私が決めるのではありません。クライアントが決めるのでもありません。それは、このプロセスに関与しているあなたや他の仕事仲間によって決められるのです」

 

私はそれから、彼らに四つのお願いを提示する。

私は彼らに以下をコミットするよう依頼している。

  1. 過去を水に流す
  2. 真実を語る
  3. 皮肉的やネガティブではなく、支援的で役に立つようになる
  4. 自分自身も改善すべき何かを選ぶ。だから皆が「裁く」というよりも「改善する」ことに注力する。

自分自身の行動を変えることを熟考する時、あなたは、私の個人的な支援なしに、同僚に同じことをしなければならない。

あなたの仕事上でコンタクトのある人を12人ほど選ぶ。

それは仕事上の友人や同僚などだ。

そして、彼らにこの四つのコミットメントに同意するかを尋ねる。

彼らがコミットする時は、ほとんど常にそうするだろう。

あなたは、自分自身についてのフードバックを彼らからもらい始める準備ができたのだ。

私の経験では、百通りの間違ったフィードバックの頼み方と一つの正しいやり方がある。

私たちのほとんどは間違ったやり方を知っている。

私たちは人にこう尋ねる。

「私のことをどう思いますか」

「私のことはどう感じています」

「私のこと嫌いですか」

「私のこと好きですか」とかだ。

 

同僚のことを考えて欲しい。

彼らの何名が友人だろうか、彼らの何名があなたについての「本当の」気持ちをあなたに伝えたいだろうか。

良い質問(私の意見では機能する唯一の質問)は、「どうすれば私は良くなれるでしょうか」だ。

状況による変更は構わない。例えば「どうすれば私は家庭で良いパートナーになれるでしょうか」とか「どうすれば私はグループの良いリーダーになれるでしょうか」とかだ。

 

あなたはアイデアを得る。変化を可能にする純粋に問題のないフィードバックは、

  1. 批判よりも助言を求める
  2. 将来に向かっている
  3. あなたが事実良くしようとする

のを奨める方法で表現されなければならない。

最後に、あなたが答えを得たら、それは誰かがあなたがより良くなるために出来ることを与えてくれた時、その助言に対して自分の意見を述べないことだ。

それは拒否、正当化、反対などに聞こえるだろう。

全ての助言を贈り物や褒め言葉のように扱い、ただ単に「ありがとう」と言うことだ。

 

あなたが助言の全てを実行するとは誰も期待していない。

 

あなたにとって意味のある助言に従って行動するだけだ。

あなたの周りにいる人はワクワクするだろう!

 

聞く

フランシス・ヘッセルベイン(Frances Hesselbein)は、ガールスカウトの前CEOで、フランシス・ヘッセルベイン・リーダーシップ協会のCEOである。

彼女は私がこれまでに出会ってきた中で最高のリーダーのひとりだ。

彼女は自身の書籍「My Life in Leadership」の中で、聞くこととリーダーシップについて、私が今までに読んだ中でも最高の記述をしている。

「聞くことは芸術である。人が話す時、彼らは私たちに集中することを要求する。私たちは彼らに注目する。非常に注意深く聞く。話された単語や語られていないメッセージを聞く。それはその人を直接見て、目で繋がることを意味している。私たちはその瞬間はその人に注目しているので、時計をしているのを忘れてしまう。それは、尊敬と呼ばれるし、感謝の気持ちとも呼ばれる。そして、それは、リーダーシップとも呼ばれる」

 

この聞く技術を少し掘り下げてみよう。

あなたは、他の人から学ぶとことの成功の80%は、私たちがどのくらい上手く聞けているかにかかっているのを知っているだろうか。

言い換えると、私たちの成功や失敗は、私たちが何かをする前に決定されているのだ。多くの人が気にしないことは、聞くことを受動的なものと考える点だ。

ただそこに座って、「誰かが喋るのを聞か」ねばならないと考えている。

もし、あなたがフランシスの記述をもう一回読んだなら、聞くことに関して受動駅でないことに気づくだろう。

それは能動的で力強いものだ。良い聞き手はその点を知っている。彼らは聞くことを非常に能動的なプロセスと考えている。

良い(能動的な)聞き手は、何をしているのか。本質的に三つのことをしている。彼らは自分たちが話す前に考えている。彼らは敬意を持って聞いている。

彼らは常に「これは(この反応は)価値があるのか」と自らに尋ねることで自分の反応を評価している。

 

話す前に考える。

私たちのほとんどは、動揺した時何をするだろうか。

話すのだ。

混乱している時、驚いた時、ショックを受けた時、話すのだ。

しかしながら、聞くことは二つの部分からなるプロセスだ。

最初のパートの間、私たちは聞く。

次のパートの間、私たちは話す。

私たちが言うのは、どのくらい私たちが上手く聞けたかの証である。

 

敬意を持って聞く

人から学ぶためには、彼らに敬意を持って聞かねばならない。

これは、話し手にアイコンタクトやボディーランゲージを使い、彼らが話すことに興味があることを示している。

あなたは彼らが喋ることから学び続けられる。

 

「これは価値があるのか」と自らに尋ねる

聞くことはまた、あなたが話す前にこの難しい質問に答えることを要求する。

この質問を理解する良い方法は、あなたが自己の興味の昔からの質問である「これは私にとって何なのか」、さらに一歩進んで「それは彼女にとって何なのか」を実際にしていると理解することだ。

あなたは、私が何度もこれはかなりシンプルだが、簡単ではないと言っているのを耳にしている。

もし能動的に、かつ敬意を持って聞くことに挑戦したなら、どんなに多くの良いことを得られるかに驚くだろう。

私たちの職場での対人問題の多くは、聞かないことや、話す前に考えていないことに端を発している。

あなたが何かを言うと、私が怒ってしまう。私は食ってかかり、数秒以内にチームや部署、組織が良く機能するのを止める意思疎通不全の危機を抱え込んでしまう。

私たちが天気や最新の技術的な小物の話をしているのから問題はない。

その中味は全く関係がないからだ。問題は、職場での摩擦を生み出すちょっとした行動パターンにいとも簡単にすっと入り込むことと、それと同じくらい簡単に摩擦を生み出さない行動パターンを取ることだ。

 

本当にそれは私たち次第だ。

私たちは、職場で話す前に考えたり、敬意を持って聞いたり、「これは価値のあることか」と尋ねたりするような簡単な訓練をすることを選択できる。

それは難しくないし、それをやる必要がある。

この領域で良い変化をしたいと願う人は、次に人と接する時に以下のテクニックを試してみることだ。

練習を続ける。そうすれば驚くべき利益を得るだろう。

 

  • 聞く
  • 遮らない
  • 他の人が話しているのを横取りして話を終わらせない
  • 「それは知っている」と言わない
  • 他の人に同意さえしない。もしその人があなたを賞賛しても、ただ「ありがとう」と言う
  • 「いえ」「しかし」「でも」という言葉は使わない。
  • 注意散漫にならない。他の人が話している時に、目を泳がせたり、注意を他のところに向けたりしない
  • 対話の終わりに知的な質問をする。(a)あなたが注意を払っていることを示したか、(b)会話を前に進めたか、(c)他の人に話すことを求めたか(あなたは聞きながら)
  • 他の人にあなたがどんなに聡明か、面白いかを印象づけようとする努力を取り除く。唯一の目的は、その人がそれを達成していると感じさせることである。

考える

話す前に考えるのは、多くの人にとって難題である。

それは辛いことかもしれない、特にもしあなたが世界に自分がどんなに賢いかを証明しようとしている時は。

次の簡単なテストをして、あなたがこの悪い癖を同僚や友人や従業員とのコミュニケーションで続けていないかを確かめて欲しい。

あなたの部下が、あなたにすぐ見てもらいたい緊急の書類があると告げてオフィスに急いで入ってくる。

その人が知らないことは、あなたが他の同僚からほんの数分前にその状況について注意を受けたのだ。

あなたは、(a)その書類を受け入れ、部下に便宜を図ってくれた労力を感謝する、(b)部下にあなたが既にその情報を知っていて、部下が貴重な時間を無駄にしたと告げる、のどちらだろうか。

もしあなたがその瞬間を単に「ありがとう」でやり過ごしたいのなら、あなたはうまくいっている。

もしあなたが多くの人のようであれば、あなたが部下よりも一歩先を言っていることを伝える方法を見つけるだろう。

あなたの反応は、否定的な「私は既に知っている!」から、より問責的な「何でこんなことで私を煩わせるのか」まで様々だ。どちらにしても、ダメージが発生する。

どんなに賢いのかを証明しようとするのを止めるのは難しくない。

 

この三段階の訓練は、役に立つだろう。

それは

  1. 口を開ける前にいったん止まって、「私が言おうとしていることは価値のあることだろうか」と自らに尋ねる
  2. 価値がないと結論づけたなら
  3. 「ありがとう」という。

もしあなたが密接に仕事をする人やあなたが良く知る人に対して、まだ重要でない時に止めることができるなら、あなたはうまくいっている。

そうでなければ、比較のためにこのシーンを試してみることだ。

CEOがあなたはもう知っている同じ緊急の書類を持ってあなたのオフィスに入って来た。

あなたは部下に「私は既に知っている」と言ったイライラした同じ口調でCEOに告げるだろうか。恐らくそうはしないだろう。

それは考えるべきことだ。

 

自分がいかに賢いかを証明しようとするのは、私たちの考えずに話してしまう悪い癖の一つだ。

その他には、怒っている時や取り乱している時に話すことだ。

ある人は、怒りを成功するためのマネジメントツールとして用いている。

それは人の注目を集めない。難しいのは、あなたが怒った時、あなたは普通制御不能で、制御不能な時に人を率いるのは難しい。

また、あなたの怒りに人がどう反応するかを予測するのは難しい。

元気になったりするのと同じくらい頻繁に黙ってしまうだろう。

怒りの最悪な点は、怒りがあなたの変わる能力を押しとどめることだ。

いったん、あなたが感情的に不安定であるとの評判を得たなら、他の人があなたをどのように見ているのかを変えるために模範的な行動を身につけるのに何年もかかるだろう。

しかし、それで大丈夫だ。

あなたはどこからか始めなければならない。どうやって怒りを止めるか。

私の仕事は、クライアントに怒りは誰か他の人の失敗ではないのを示すことだ。

それはクライアントの欠点である。

 

仏教の伝説で、若い農夫が村に作物を届けるために船を川の上流に向けて漕いでいた。

彼が前を見ると、他の船が彼の方に向かってもの凄い勢いで下って来るのが見えた。

彼はそこから逃れようとして猛烈に漕いだが、無駄であった。

彼はその船に向かって叫んだ。

「方向を変えろ、馬鹿者が!」

それは効かなかった。

船は大きなドスンという音をさせて彼の船と衝突した。その若い農夫は怒ってその船に叫んだ。

「この馬鹿者が! 間抜け! 一体どうしたんだ」

誰も反応しなかった。

そして若い農夫は、船には誰も乗っていないことが判った。

 

その教訓はシンプルだ。

その船には決して誰もいなかった。

私たちが怒る時、私たちは空の船に叫んでいるのだ。

私たちには皆、人生で自分たちを怒らせる人がいるものだ。

彼らが私たちにした不公平で、感謝知らずで、思いやりのない扱いを思い出すのに何時間も使っている。

しかし、この人に怒ることは、椅子が椅子であることに怒るのと同じだ。

彼女は彼女なのだ。

もし私たちが彼女の遺伝子や、経歴や、両親を持っていれば、私たちは彼女になれるだろう。

それは簡単ではない。

しかしあなたはそれができる。怒った時に話したくなる傾向を抑えるのだ。

舌を噛む。いったん、何も言わないことの見返りを理解したなら(沈黙は人を遠ざけたり、あなた自身の成功を傷つけたりしない)、あなたはより良くなる機会を得るのだ。

 

感謝する

お礼は最も基本的な感情のひとつの感謝を表している。

抽象的な概念ではなく、感謝は純粋な感情である。

それは強制されないし、無理強いされない。

あなたは感謝を感じるか、感じないかのどちらかだ。

にもかかわらず、誰があなたに何か素晴らしいことをした時、その人は感謝を期待し、あなたがそれを差し控えるとあなたを見下してしまう。

 

あなたが最後に誰かに贈り物をした時のことを思い出して欲しい。

もし人があなたにありがとうと言わなかった時、あなたはその人をどのように感じるだろうか。

素晴らしい人か。それともとても嫌なろくでなしか。

誰かがあなたに贈り物をした時、あなたは「嫌な贈り物だ!」「酷い贈り物だ!」とか「私は既にこの馬鹿げた贈り物を持っている!」とかは言わないだろう(そうでなければ、あなたは本物の間抜けだ)。

あなたは「ありがとう」と言うだろう。

もし、あなたがその贈り物を使えるなら、使うことだ。もし使いたくなければ、それをクローゼットにしまって、「あきらめろ」だ。

同様に、あなたが利害関係者から、どうやってより効果的なリーダーになれるかの提案を受け取った時、その提案を贈り物と見なすることができる。

そして、利害関係者を贈り物をくれる人として取り扱う。

あなたに贈り物を与えることで親切にしようとする人を侮辱しないように、利害関係者があなたにアイデアをくれた時、あなたは彼らや彼らのアイデアを侮辱したくはないだろう。

あなたはただ「ありがとう」と言うことを学びたいはずだ。

 

私はクライアントに、利害関係者からどのようにすればより効果的なリーダーになれるかの提案を求め、それらのアイデアを聞き、その提案について考え、意味のあることを試してみて、機能のするものだけをやり続け、機能のしないものを取り除くことを教えている。

私たちは、人がやるべきだと提案したこと全てを実行するとは約束はできない。

私たちは主だった利害関係者の言うことを聞き、彼らのアイデアを考え、できることをやるというのは約束できる。

これは、私たちが約束できることであり、彼らが期待することでもある。

これは、職場であなたがより良いリーダー、チームメンバー、仕事仲間になろうと努力する時に機能する。

これは、家庭であなたがより良い友人、家族の一員になろうと努力する時に機能する。

あなたは誰に「どのようにすれば私はより良い…になれるでしょうか」と聞く必要があるか。

あなたは提案に通常どのように反応するだろうか。

あなたはそれらを贈り物と扱えるだろうか。

それとも、その提案や提案をしてくれた人を批判するだろうか。

 

他の人が合意できない提案をしてくれた時の私たちの生来の傾向は、すぐに防御的になるか、彼らが間違っているのを証明することだ。

他の人が合意できる提案をしてくれた時の私たちの生来の傾向は、その提案は不必要だとほのめかしながら「それはすでに知っている」と指摘することだ。

次回誰かがあなたにアイデアや助言をくれた時、判断せずに聞き、聞いているものの価値を見つけようとし、「ありがとう!」ということだ。

 

応答する

もし私が知っていることがひとつだけあるとすれば、それはフィードバックにどう反応するかだ。

リーダーシップ開発ツールとしてのカスタムメイドの360度フィードバック(直属の部下、同僚、上司からの極秘のフィードバック)の先駆者である私は、フィードバックを用いて人がより良く変化する手助けを30年間行ってきた。

1993年に私はこの仕事で初めて全国的な評価を得た。

そして、ウォールストリートジャーナルからこの類いまれな分野でトップ10のエグゼクティブ向け教育者のひとりとしてランキングされた。

この分野は、その後「エグゼクティブ・コーチング」として知られるようになる。

そう。私はどれを話すかについてちょっと知っているのだ。

私に関してはもう充分だ。さらフィードバックへの反応に関する話題を掘り下げて調べてみよう。

それに何時間も使ってはならない。あなたは自分の反応をポジティブに、シンプルに、フォーカスし、素早いものにしたいだろう。

 

ポジティブ

利害関係者に時間を取ってもらってフィードバックしてくれたことに感謝する。

誰が何を言ったかは知らないことを受入れるが、全員に時間を取って有益な情報を提供してくれたことに感謝する。

 

シンプル

フィードバックの中で述べられていることに多くのポジティブな特徴があり、それは有益であなたを気分よくすることを利害関係者に告げる。

 

フォーカス

それから、あなたが変えたいと思った行動があると言う。

あなたはこの悪いくせについて謝りたいだろう。

あなたは〜であることに取組みたい(空白を埋める。頑固、自説を曲げない、酷い聞き手)。

 

素早い

利害関係者にあなたが将来どのようにして改善できるかについてアイデアを求める。

それらのアイデアを批判しない。それらを良い・悪いと判断したい衝動と戦う。

ただその人のアイデアを聞き、「ありがとう」と言う。

あなたがフィードバックに反応する時に、謝罪についての即座の説明、魔法の動きがある。

純粋に謝ることは、人ができる最も魅惑的な癒しがあり復元力のある行いの一つである。

謝罪なしに、失敗がなされたことの認識や承認はないし、あなたが変わろうとしている告知もない。

もっと重要なことには、あなたとあなたが気にしている人との間の感情的なつながりがない。

あなたがどのように振る舞っていたかとか、何をしたとか、何があなたに謝罪を余儀なくさせたかとかは問題ない。

あなたに謝らせたくするものが何であれ、私はそれを全て支援する。

 

以下は、謝罪の指示書である。

あなたは、「すいません」と言うが、それに付け加えて、「これからもっと良くなるようにします」と言える。

これは必要ではない。

しかし、非常に役に立つ。

なぜならば、あなたが過去を水に流す時、明るい未来をほのめかすのは常に素晴らしいことだ。

それから、何も言わないことだ。

それを説明してはならない。複雑にしてもならない。

条件をつけてもならない。

言葉を付け加えることは、謝罪を弱める何かを言うリスクだけがある。

 

ベン・フランクリン(Ben Franklin)が言うように、「謝罪を言い訳で駄目にしてはならない」

最後に、謝罪ということで、私があなたにできる最も深遠な助言は、できるだけ素早くやって、終わることだ。

謝罪を早く終わらせれば、世間にあなたが変わろうとしていると告げることに取りかかることができる。

 

関与する・変化する

もし、一本の木が森の中で倒れたても、誰もそれを聞かなかったら、木は音を立てたのだろうか。

これは、なぜリーダーシップはコンタクトスポーツだという行動変革モデルの二つのステップを非常に真剣に行うことが重大かということの背後にある一般的な難問だ。

あなたは無条件にそれをやらねばならない。

そうしなければ、この全体のプロセスは機能しないだろう。

それは何だろうか。

 

それは関与と変革である。

 

関与することは広告のようなものだ。あなたは皆にあなたが変えよう計画している領域を正確に伝えなければならない。

あなたは申し訳ないと言い、その行動について謝罪し、今やあなたはそれについて何かしようとしていることを彼らに告げている。これはきついことだ。

なぜならば、あなたの行動を変えるよりも、あなたの行動に対する人の認識を変えるのはより難しい。

それは人が彼らの既存の固定概念に従ってあなたを見ているからだ。

例えば、もしあなたが私を傲慢な間抜けだと思っているなら、あなたが私についてやったり、考えたり、感じたりすること全ては、その認識のフィルターがかけられる。

この枠組みの中では、どんなに懸命に努力しようとも、私が良くなっているとあなたに認識させることはほとんど不可能である。

しかし!(これは、以前リーダーに何を止めるかシリーズで「いいえ、しかし、でも」と言う悪癖を記述したが、本当に使うのが良い「しかし」のケースである)。

いずれにしても、良くなっていると認識される見込みは、もしあなたが変わろうと努力していると人々に告げるなら、大いに改善する。

突然、あなたの努力は彼らのレーダースクリーンに映し出される。

もし、あなたが人にどんなに一所懸命努力しているかを告げ、そのメッセージを何週にも渡って繰り返すなら、見込みはさらに改善する。

あなたの見込みは、人にどうすればより良くなれるかについてのアイデアを求める時にさらに改善する。

人はあなたに投資をするようになり、あなたが彼らの提案を用いているかを判断することに注目している。

この広告の全てをもって、人はあなたの新しい可能性を受入れ始め、あなたは木の倒れる方向に皆の注目を示したのだ。

 

変革はシンプルだ。

しかし、簡単ではない。

 

それは難しいことだ。あなたはそれをやらねばならない。

あなたは変わることに必要な時間と労力を投入しなければならない。

それは、なぜ私が自分のやることを真剣に取り組んでいるかの大きな理由の一つである。

人がより良くなることにコミットした時、彼らは難しく大胆な何かを実行している。

目標の達成を持続することは、多くの時間、ハードワーク、個人的な犠牲、継続的な努力、何年にも渡って維持されているプロセスへの献身さを必要とする。

だから、あなたは変革にコミットし、準備し、前向きになる。

あなたを思いとどまらせるのは何だろうか。

 

あなたの変革に対するコミットメントを最後までやり遂げないようにしているのは何か。

それは私たちの多くが持っている夢のかたちで来る。

私はこの夢をしばしば見る。

それはこんな感じだ。

 

知っての通り、私は今信じられないくらい忙しい。事実。私はこれまで経験してきた以上に忙しい。

私はコミットメントし過ぎているのを感じている。

私の人生は少し制御不能な感じさえする。

私たちは、今非常にユニークな挑戦に取組んでいる。

そして、私は最悪のことは何ケ月かで終わると考えている。

その後、私は何週間かかけて、頭を整理し、家族と過ごし、運動をするだろう。

全てはそれから変わろうとし、人生はもう常軌を逸していないだろう。

こんな夢を見たことはないだろうか。

どのくらいの期間、この夢を見てきただろうか。

それはあなたにとってどのように機能しているか。

 

もし、あなたが自分自身について何かを変えたいのなら、いまが最高のタイミングだ。

自分自身に尋ねて欲しい。「私が今変える意思があるのは何だろうか」。

それをただ実行するだけだ。それで充分すぎるくらいだ。今だ。

 

フォローアップする

ケイルティ・ゴールドスミス・アンド・カンパニーは、最近フォーチュン100社の八千名のリーダーに対してフィードバックとフォローアップすることの影響について調査した。

企業の管理職は、直属の部下からフィードバックを求めた。

その際に、企業の新しい価値観を補強するために設計されたリーダーシップ目録を用いた。

極秘のフィードバックレポートを受け取ってから、各々の管理職は以下を求められた。

  1. 一つから三つの改善の主要領域を選び、望ましい変革のための行動計画を作成する
  2. 仕事仲間にフィードバックに対するお礼を述べ、アクションプランを議論し、変革プ
    ロセスに彼らを関与させる反応をとる
  3. 進捗をチェックし、さらなる支援を得るために仕事仲間とフォローアップを実施する

管理職は集中した双方向の対話の対応に5〜15分だけ使うことを依頼された。

それから「進捗レポート」と更なる提案をする数分間だけのフォローアップの実施を依頼された。

最初のフィードバックからおよそ八ケ月後に、仕事仲間はリーダーシップ目録を使って彼らの管理職に対するフィードバックを再び実施することを求められた。

 

二つの追加の質問が目録に加えられた。

  1. 管理職のリーダーシップ効果の変化の度合い
  2. 管理職のフォローアップの度合い

私たちの研究での発見は、劇的だが驚くべきものではない。

認識されたリーダーシップ効果の変化度合いは明白にフォローアップの度合いと関連している。

フォローアップをしていないと見られる管理職は、彼らが八ケ月前よりもグループとして僅かながら効果があると見られた。

46パーセントがより効果的と評価されたが、半分以上は変化なしもしくは効果なしと評価された。

少しだけフォローアップをしている管理職は、評点で非常に肯定的なシフトが見られ、89パーセントがより効果があったと評価された。

このグループのほぼ半分のリーダーが(45パーセント)が二つの高評価カテゴリー(+2もしくは+3)と評価され、ほとんど僅か(3パーセント)のリーダーでその効果が落ちたと見られた。

 

一貫した定期的なフォローアップは、劇的でポジティブなインパクトを与えている。

 

リーダーの半分以上(55パーセント)は最も高いカテゴリーで、86パーセントが+2もしくは+3と評価されている。

六社の大企業に努める20カ国以上の管理職でこれと同様の研究が行われた。

今のところ、その結果は驚くほど一致している。

研究ではチームメンバーと外部顧客とのフィードバックやフォローアップの効果も調査された。

結果は非常に類似したパターンになっている。

フィードバックを求められたチームメンバーやサプライヤーは非常にポジティブに反応し、フォローアップはチームメンバーや外部顧客に効果を劇的に増加させるものと見られている。

フォローアップは、未来のリーダーにとって主要なチャレンジになるだろう。

「現実世界」のリーダーにとって、質問し学習することは学問的訓練以上のものである。

プロセスは意味のある、ポジティブな変化を生まねばならない。

非常に忙しい世界で、どうやって効果的かつ効率的にフォローアップをするかを学ぶことで、リーダーは主要な利害関係者に彼らがリクエストされたインプットから生じるポジティブな行動を見せることができる。

 

最期に

本日の記事はいかがでしたか。

リーダーシップの開発は簡単な行動をコツコツと続けることが肝要で、「リーダーは一日にしてならず」と言ったところでしょうか。

yujiro akimoto
  • yujiro akimoto
  • 【経歴】
    兵庫県神戸市出身。

    大学卒業後は、日系の精密機器メーカーに入社。約9年間に渡り人事、海外販売 (東南アジア地域)、営業支援などの業務を経験。

    その後、コンサルティング業界に転職。
    戦略コンサルタントとして、通信業・製造業・専門サービス業などのクライアントに対する戦略立案や戦略の実行支援などに携わる。

    コールセンター会社の経営企画と人事の担当役員として事業会社の経営に携わった後に、株式会社秋元アソシエイツを設立し、組織の生産性向上などのコンサルティングサービスを提供する。

    【資格】

    Marshall Goldsmith Stakeholder Centered Coaching (Certificated Coach)
    全米NLP協会 プラクティショナー
    TOEICスコア: 915

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