社内コンサルタントになりたい人はこの点を気をつけて!
目次
「アップ・オア・アウト」って聞いたとありますか?
経営コンサルティングの会社では、「アップ・オア・アウト」という人事制度があります。
これは、毎年の業績評価の際に、これ以上成長(昇進)が見込まれないコンサルタントは退職してもらうというもので、昇進(アップ)もしくは、退職「アウト」のどちらかを選択するものです。
一見すると非常にシビアな制度ですが、ヒトが主な経営資源である経営コンサルティング会社にとっては、ランク別の人員比率を維持しておかないと、不要な固定費を負担しなければならず、コンサルタントをながく同じランクで滞留させることができないという台所事情があります。
しかし、実際のところアウトになる人は稀です。たいていの人は、次の様なチャンスをみつけて、在籍していたコンサルティング会社を卒業します。
- 起業する
- 事業会社に転職する
- 別のコンサルティング会社に転職する
社内コンサルの苦悩
このうち、「事業会社に転職する」場合、シニアなコンサルタントの場合は、経営を司るポジションにつきますが、若手コンサルタントの場合は経営企画のような部署で活躍することが多いようです。
中には、経営コンサルティング会社での経験を活かして、社内でコンサルタントのように活動する「社内コンサル」になる場合もあります。
先日もそんな社内コンサルの方とお話しする機会がありました。
別の人から、ある会社が業務改革に取り組んでいるので手伝って欲しいという依頼がされたので、その会社に訪問して、話を聞きました。
その会社は、様々な業種の会社を企業買収によって事業規模を拡大してきました。
イントラネットを使って、社内のコミュニケーションをとっていましたが、永らくそのソフトウエアを使い続けており、社内の業務はいまだに紙でのやりとりが主流でした。
そんなとき、社長の鶴の一声でペーパーレスプロジェクトを始めることになり、その元コンサルの方がプロジェクトのまとめ役として参画することになりました。
実際にプロジェクトを始めるにあたり、この会社は非常に多岐にわたる業種の会社で構成されているため、この方は本社がリードするのではなく、検討の進め方は全て現場に任せた方が良いとの判断をしました。
すると、現場の方からプロジェクトに対する反対の声が上がり、プロジェクトの活動を一旦停止せざるを得なくなります。
今は、数ヶ月経って再度取り組みを始めるべく準備をしている段階で、是非ともそのプロジェクトの運営に力を貸して欲しいということでした。
私:ところで、なぜ今ペーパーレスプロジェクトをやらなければならないのですか。プロジェクトの目的を教えて下さい
大義名分のないプロジェクトは迷走する
この会社が取り組もうとしているペーパーレスは、たしかにクラウド化が進んだ現在では技術的にも実現可能性の高い内容だと言えます。
しかし、なぜ自分の会社が今それをしなければならないのかについて、社内の誰もが納得できる(腹落ちのする)ストーリーが共有されていないと、プロジェクトの重要な段階での判断がブレる怖れがあります。
発明王のエジソンも目的のない努力に対して、次のような言葉を残して警鐘を鳴らしています。
「成功のために汗も努力も欠かせない。だが無目的の努力だけでは大海をさまよう小船のごとく、あるいは密林の中を迷い続ける迷子のようにいつか力尽きる」
社長の思いつきでプロッジェクトが始まるということはよくあります。
そういう場合、依頼を受けるコンサルタントとしては、なぜそれを今やらなければならないのかを社長と膝詰め合って、より具体的な内容に落とし込んでいきます。
言い換えれば、プロジェクトの目的が決まらない限りは、コンサルティング会社として、プロジェクトを始めてはならないのです。
これは外部のコンサルティング会社が第三者的な立場にいるという、コンサルティング会社の本来の役割や価値が発揮される場面です。
しかし、社内コンサルタントにそのような客観的な立場を期待するのは難しいのかもしれません。
外部のコンサルティング会社であれば、経営者に少々厳し目のこともあえて発言することもありますが、社内コンサルタントだと経営者は上司であり、彼らの業績の評価者でもあります。
あまり、ズバズバということで、自分自身の社内における立場を悪くできないという意識が働いてしまい、最悪の場合「上から言われたことだから」といって社内を押し切らざるを得なくなります。
企業が社内コンサルタントに期待する役割の一つには、コンサルタントが様々なプロジェクトで習得した論理的な思考法やタスク管理などのノウハウを社内に落とし込むことがあります。
しかし、外部のコンサルタントが担っている役割を社内コンサルタントに期待してしまうと、充分な効果が発揮されないことがあります。
最後に
本日の記事はいかがでしたか。
社内コンサルタントにも外部コンサルタントにもそれぞれメリットとデメリットがあり、両者を上手く使うことで最大限の効果が上げられます。