その一言、言った方がいいですか?

食べ物の味を引き立たせるために、料理では「隠し味」を使いますよね。

例えば、おしるこや、豆の甘煮などを作る時に、仕上げにひとつまみの塩を加えることです。

しょっぱい塩を入れることで、逆に甘みが増します。

ビジネスの世界でもミーティングの中でちょっとした一言で、討議が活気ずくことがあります。

しかし、それも時と場合によりけりです。

エグゼクティブ教育の第一人者であるマーシャル・ゴールドスミス氏は、マネジャーのそんな特徴について語っています。

 

何かひと言価値を付け加えようとする

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聡明な成功した人たちの古典的な問題は、何かひと言価値を付け加えようとすることだ。

この悪癖は、全ての議論に2セント加えたいという圧倒的な欲求として定義されている。

極度の負けず嫌いのちょっとした変形で、何かひと言価値を付け加えることは采配を振るうことに慣れているリーダーに共通する。

成功した人にとって他の人が既に知っていることを話しているのを、何かしら(a)既に知っているとか、(b)より良い方法を知っていと伝えることなしに聞くのは非常に難しい。

何かひと言価値を付け加えることの何が問題か

もし私たちのアイデアが常に改善されるなら、関心を持つ全ての人にとって良いように見える。

しかしそうではない。

エネルギッシュで熱狂的な従業員が、あなたのオフィスにアイデアを持ってやって来たと想像して欲しい。

その従業員は興奮気味にそのアイデアをあなたと共有した。

あなたはそれを素晴らしいアイデアだと思った。

「素晴らしいアイデアだ」と言う代わりに、あなたは

それは良いアイデアだ。これをそれに付け加えてはどうだろうか」と言う。

 

これは何をするだろうか。

その従業員の熱狂をしぼませてしまう。

コミットメントを下げてしまう。

アイデアの品質は5%上昇するだろうが、その従業員のコミットメントは50%下がるだろう。

それはもはやその従業員のアイデアではなく、あなたのアイデアになる。

 

実行の効果=(a)アイデアの品質×(b)それを機能させるためのコミットメント

実行の効果は、(a)アイデアの品質はどのようなものかと、(b)それを機能させるための私のコミットメントは何かを掛け合わせた関数になる。

しばしば、私たちはアイデアの品質を少しだけ改善しようと大変夢中になっているので、アイデアを実行しようとする彼らのコミットメントを多いに損なっているのだ。

リーダーとして、組織の上に行けば行くほど、他の人を勝者にし、自分自身の勝利にしないことが益々必要になることを理解するのは重要である

 

私のコーチングのクライアントにJ.P.ガルニエ(J.P. Garnier)がいた。

彼は大きな製薬会社であるグラクソスミスクラインの前CEOである。

私は彼に「私がエグゼクティブ・コーチとしてあなたがリーダーとして最高になるのを手助けした時、私から何を学びましたか」と聞いた。

彼は「あなたは私に教訓をひとつ教えてくれました。それは、私がより良いリーダーなり、そしてより良い人生を送る手助けになりました。
あなたは私に、話をする前に、いったん止まり、深呼吸をして、自分自身に『これは価値のあることか』と尋ねるよう教えてくれました」と言った。

話す前に深呼吸をする習慣を身につけた時、彼は言おうとしていたことの少なくとも半分は言う必要がなかったことが分かった。

たとえ彼が価値を付け加えられると信じていても、何も言わないことでより多くが得られることを理解した。

このコンセプトに対する裏面は、人はしばしばリーダーの提案を命令と受け取ることだ。

私はJPに「CEOとしてあなたはリーダーシップについて何を学びましたか」と尋ねた。

彼は「私は非常にきつい教訓を学びました。私の提案は命令になるのです。

もしそれが聡明なら、それは命令になります。

もしそれが愚かでも、命令になります。

もし私がそれを命令にしたければ、命令になります。

そして、もしそれをオーダーにしたくなくても、それは何れにしても命令になるのです」と言った。

何年もの間、私はこれを米国海軍の提督学校の生徒に教えた。

私が彼らに最初に教えることは、彼らが星を得るや否や、彼らの提案は命令になることだ。

提督は提案しない。

もし提督が提案したら、その反応はどうなるのか。

「はい。かしこまりました」。

 

彼らの提案は命令になる。

 

これはリーダーにとって何を意味しているのだろうか。

それはあなたがどのようにして励ましや提案を与えるかを詳しく監視することを意味している。

もしあなたが「素晴らしいアイデアだ」と言っているのが分かり、その後「しかし」「でも」を続けるようなら、その「アイデア」に対する反応の中断を試みることだ。

さらに良いことに、あなたが話す前に、深呼吸して、あなたが言おうとしていることに価値があるのかを自分自身に尋ねる。

あなたは、勝たない(価値をつけない)ことでより一層得るものがあることが分かるだろう。

 

最後に

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いかがでしたか。

最初はよかれと思って、少し立ち止まる勇気が必要ですね。

マーシャルゴールドスミス氏の論文の翻訳については、ゴールドスミス氏ご本人の承諾のもとで行っております。

yujiro akimoto
  • yujiro akimoto
  • 【経歴】
    兵庫県神戸市出身。

    大学卒業後は、日系の精密機器メーカーに入社。約9年間に渡り人事、海外販売 (東南アジア地域)、営業支援などの業務を経験。

    その後、コンサルティング業界に転職。
    戦略コンサルタントとして、通信業・製造業・専門サービス業などのクライアントに対する戦略立案や戦略の実行支援などに携わる。

    コールセンター会社の経営企画と人事の担当役員として事業会社の経営に携わった後に、株式会社秋元アソシエイツを設立し、組織の生産性向上などのコンサルティングサービスを提供する。

    【資格】

    Marshall Goldsmith Stakeholder Centered Coaching (Certificated Coach)
    全米NLP協会 プラクティショナー
    TOEICスコア: 915

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