新人の強みを発揮できるか?
コンサルティングファームに在籍していた頃ですが、毎年何名かを新卒採用していました。
近頃はコンサルティング会社というのは、大学生にとって人気の業種らしく、毎年非常にに多くの学生が応募します。
選考に出される試験対策のための書籍もあるようで、ここまでくるとちょっと行き過ぎの感もあります。
倍率何百倍という狭き門をくぐり抜けてきた学生はどなたも優秀な人ばかりですが、それはあくまでも学生として優秀なだけで、これから社会人として覚えるべきことは盛り沢山です。
それでは、見習い期間を設けてじっくり育てるのかというと、小さな所帯の会社だけにすぐに現場のプロジェクトに投入されます。
右も左も判らないので、戸惑うことや悩むことも多いはずです。しかし、こんな新人の時だからこそ、使えるテクニックがあります。
それは、「新人なので」と言って、クライアントの懐に飛び込むことです。
コンサルティングのプロジェクトなので、日常的に接するのはクライアントの企業の役職者が多くなります。
そんな部課長の人のところに行って、「新人なので判らないことがあります。是非、色々と教えて下さい」と言えば、たいていの人はよっぽど忙しければ、その申し出を歓迎します。
人にはどこかで教えたいという気持ちがあるのでしょう。
また、会社の中でそのランクまでえらくなると、近頃は新人を教えることもなくなったのでしょう、我々がお願いするときよりも時間を取ってくれたりします。
そのため、クライアントの業界の動向や業務の進め方といった基本的な内容だけでなく、意外な裏情報まで取ってきたりします。
新人の頃でしかできない対人スキルの磨き方とも言えます。
しかし、これができない人がたまにいます。
有名大学を卒業し、難関の入社試験に受かったという自負があるのでしょうか、なかなか「知らない」とは言えないみたいです。
そういう人を見ると、「せっかくの機会なのに残念だな」と思ってしまいます。
繰り返しますが、これはあくまでも新人コンサルタントの場合だけです。
ベテランがこれをすると、「この人大丈夫か」と疑われますよ。
以前、外資系の企業でコンサルティングをした時、先方の役員の方が以前に取引をしたコンサルティング会社の事を話されました。
「前に雇ったコンサルティング会社には困った。やたら教えてくれとこちらの時間を取られてしまった。お金を払って雇っているのに、何で彼らの教育をしなければならないのかと思った」
たしかに初めて取引するお客様であると、色々と確認したい点は出てきます。
しかし、お客様をそんな風に辟易させてしまったというのは、もしかしたらそのコンサルティング会社は、自分たちで調べれば判るような基本的なことまで聞いてたのかもしれません。