業務改革に例外を設けるな!

ある企業の経営支援をした時の話です。

この会社は、コールセンターを運営する会社で、業界のトッ
プクラスの地位を長らく保持しています。

全国を北海道、東北、関東、北陸、中部、関東、中四国、九
州と八つの地域に分けて支店を設置し、コールセンター案件
の受注とオペレーションを行っています。

この会社の経営者は、支店の独立採算制を採用し、各支店が
切磋琢磨していく中で、企業規模を拡大してきました。

しかし、ここ数年は市場が成熟化してきたことに加え、多く
の企業が市場参入してきたため競争が激しくなっています。

 

コスト削減プロジェクトで判ったこと

経営支援したときの一番の課題は、新たに顧客を獲得しよう
としても、競合企業との間で、どうしても価格面での競争に
なってしまい、収益率が悪くなってきているというものでした。

全社をあげてコスト削減を進めて行くことになり、早速現状
のコスト構造の分析を行いました。

各支店の比較をしたところ、明らかに間接コストの比率が高
い支店がありました。

若干の地域特性はあるものの、同じ事業をしているわけです
から、コスト構造にそれほど大きな違いは出ないはずです。

その支店の支店長に話を聞いたところ、こんな答えが返って
きたのです。

「優秀なオペレーターがいて、残ってもらいたいから、総
務部付きにしているのです」

オペレーターというのは、コールセンターで電話を受ける
人のことです。

この会社では、案件毎にパートやアルバイトを募集してお
り、正社員はこれらのオペレーターを管理するのが役割でした。

案件毎に契約するので、通常はその案件が終了すれば、
そのパートやアルバイトの人の仕事は終わりなのです。

しかし、その支店長は、その優秀なオペレーターを別の
案件に使いたい気持ちがあったため、契約が切れても
総務部付きということで、組織内に留めおいたのです。

そういうオペレーターが何名も居たために、結果的に間
接コストが膨れ上がったという訳です。

 

部分最適と全体最適

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この支店長の取った行動は、自分の視点の売上に貢献つなが
るのであればという部分最適的な考えに基づいたものでした。

この部分最適的な判断をした背景には、この会社の組織の運
営方針があります。

過去の市場が拡大している期間では、支店間で競争させるこ
とで売上を拡大させることができました。

この点では、経営者の判断や組織の運営方法は肯定されます。

しかし、市場が成熟化し、価格の安さが顧客にとっての重要
な判断基準になった現状では、過去に成功した組織運営方法
は見直さざるを得なくなるました。

にもかかわらず、見直しができず放置されていたので、結果
として収益面での苦戦が続いていたのです。

このような状況になれば、部分最適的な解決法ではなく、
全体最適的な解決法(例えば、優秀なオペレーターは契約社
員化する、もしくは全社で案件情報を共有し、リソース的に
余裕のある支店に「販売」するとか)を目指すべきです。

 

聖域のない業務改革を目指す

もし、その解決方法がコストを徹底的に見直して、筋肉質
の企業体質を作るあげることであれば、そこに例外を設け
るべきではないです。

というのは、全社レベルでのコスト削減策を実施する場合
往々にして各部門から「例外的な措置」の適用を求めてく
ることがあります。

「売上に影響するから、○○は除外して下さい」

「これはお客様から言われていることなので…」

といった感じです。

しかし、経営者は何か一つでも例外を認めてしまうと、
他の部門から「自分たちも同様の措置を考えて欲しい」
と要望が相次ぎます。

そんな願いを聞き入れていくことで、改革は徐々に骨抜
きされてしまうのです。

トップたる者は、この取り組みが何を意味しているのか
を念頭に置き(おそらくコスト削減しないと将来の競争
に打ち勝てなくという切羽詰まった危機感から来ている)
そのためには聖域を設けないくらいの意気込みで望む必
要があると言えます。

聖域のない取り組みが、業務改革のような取り組みを成
功させる秘訣です。

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