質問だけではコミュニケーション上手になれない!これがないと駄目!
以前、コミュニケーションにおいて質問の重要性を説明しました。
ちょっと待って下さい!
質問だけをしていれば、相手との関係がうまくいくとは限らないのです。
例えば、あなたが誰か(Aさん)と会話をしていて、その人が何か質問をしてあなたがそれに答えたとします。
そうしたら、Aさんはまた質問するのですが、先ほどの質問とは全く関係のない質問でした。
「おかしいな」と頭の中で思いながら、あなたはその質問に答えます。
また、Aさんが質問しますが、やはり前の質問とは全く関係のないものです。
そんなやりとりが続いていくと、あなたはやがて「この人は何を知りたいのか」とうんざりしてしまいますよね。
- Aさん:「昨日の会議はどんな感じだった?」
- あなた:「いろいろと活発な意見が出たのですが、なかなかまとまらず、再度討議の場を持つことになりました」
- Aさん:「ところで、中途入社したBさんをどう思う?」
- あなた:「新しい環境になじもうと頑張っているようですが、苦労もされているみたいです」
- Aさん:「ところで、今度の週末は何か予定ある?」
- あなた:「…」
コミュニケーションにおいて、質問と同じくらい重要なことがあります。
それは、「聞く」ことです。
目次
聞くというのは思ったよりも奥が深い
聞くことの重要性は、古くから強調されています。
紀元前四世紀のギリシャの自然哲学者のゼノンは、「自然は我々に耳を二つと舌を一つ与えているが、それはもっとよく聞いて、余計にしゃべらないためである」と言っています。
また、古代ギリシアのストア派の哲学者のエピクテトスはその著書「語録」の中で、「聞き上手は一つの技術である」と言っています。
「きく」という行為にはいろいろな意味があり、異なる漢字が使われます。
- 「聞く」というのは、音が耳に入ることを言います。
- 「訊く」というのは、尋ねるとか質問するという意味があります。
- 「聴く」というのは、全ての感覚を使って注意を傾けて情報を受け取ることを言います。
あなたに意識してもらいたいのは、「聴く」ことです。
なぜ、聴くことが重要なのでしょうか
聴くことには三つの効果があると言われています。
- カタルシス効果
- バディ効果
- アウェアネス効果
カタルシス効果
これは相手に聴いてもらうことで、自分の不安やイライラといったマイナスの感情か解消されることです。
浄化作用とも言われます。
バディ効果
自分のことを理解してくれる人がいることが判ると、安心感を得ることができます。
アウェアネス効果
話し相手が、自分を改めて見つめることで、新たな気づきを得ることができます。
傾聴のタイプ
「傾聴」とは、耳を傾けて熱心に聴くことです。
傾聴によって、相手との友好的な関係をつくることができますが、傾聴には三つのタイプがあります。
- レベル1の傾聴
- レベル2の傾聴
- レベル3の傾聴
レベル1の傾聴
レベル1の傾聴とは、聴き手が自分自身の意識に焦点を当てる聞き方です。
これは、相手の話している言葉は聞いているのですが、それが自分にとって何を意味するのかに意識が向いている状態を指します。
つまり、聴き手自身のニーズを満たすための聴き方で、内的傾聴と言われています。
その結果、どうしても聴き手が自分の話したいことに誘導する傾向がありますので、自分がこの聴き方をしていないか注意が必要です。
レベル2の傾聴
レベル2の傾聴とは、相手にしっかりと意識の焦点を当て聴き方です。
聴き手は、自分の聴き方が相手にどんな影響を与えるのかを意識する必要があります。
そのためには、相手から発せられる全ての情報ー話される内容だけでなく、声の調子、抑揚、ペース、感情などに集中しなければなりません。
ここからレベル2の傾聴は、集中的傾聴と言われています。
このレベルの傾聴をすることで、話し手と聴き手の両者が共感し、協力し合うことができます。ラポールが築かれます。
レベル3の傾聴
さらに上級レベルになると、聴き手は話してだけでなく、自分の周囲360度に意識を当てて、聴くようになります。
ここからレベル3の傾聴は、全方位的傾聴と言われます。
周囲に意識を向けることで、ほんの小さな変化も捉えることになり、聴き手は直感が働くようになります。
聴くコツ
レベル3の傾聴の域に達するのは、なかなか難しいところがありますよね。
それでは、日常的に相手の話を聴く時にどんな点を注意すればいいでしょうか。
- 聴く体勢を作る
- 相手に集中する
- 相手の話を遮らない
- 沈黙を恐れない
- 相手が話している最中には、こちらが聴いているというサインを出す
聴く体勢を作る
あなたは、こんな場面を見た経験はありませんか。
社員が上司に報告をしているのですが、その報告の間中、上司はパソコンの画面を見ながら聞いているというシーンです。
もし、あなたがこの社員だとどんな気持ちになりますか?
「上司の人は本当に私の報告を聞いているのだろうか」
「自分のやっていることはそんな重要なことではないのかもしれない」
あなたが、上司の立場なら、部下から報告、連絡、相談を受ける場合は、必ず相手の方を向いて聴いて下さい。
ながら作業はNGです。
相手の話に集中する
これは先ほど説明したレベル2の傾聴です。
話を遮らない
よく話し手が説明している途中で質問をする人がいます。疑問が出てすぐに質問して解決したいという思いは理解できるのですが、話してはその後に説明するつもりだったのかもしれません。
「これから説明するのに」という気持ちが出てしまい、聴き手との友好な関係を築こうという気にならなくなります。
少しの我慢が相手のとの関係を良くしますよ。
沈黙を恐れない
会話の途中で沈黙があると気まずい感じになる人がよくいます。
そのため、矢継ぎ早に質問したり、その時の話題には関係ないことに話を振ったりして、その沈黙を埋めようとしてしまうとせっかく友好な関係が築けてもそこで台無しになってし
まいます。
沈黙は恐れない方がいいです。
相手が何かを考える時間を与えた方が、より深い会話になります。
相手が話している最中には、こちらが聴いているというサインを出す
聴き手であるあなたは相手が話している時には意識してうなづいたり、相づちを入れるようにして下さい。
相手は「聴いてもらっている」という安心感を得ることができます。
最後に
いかがでしたか。
一口に「きく」と言っても、いろいろなテクニックがあることが理解してもらえたかと思います。
テクニックも重要なのですが、相手の立場にたって聴くということが最も重要なポイントです。
明日から試されてはいかがですか?