【書評】怒りとうまく付き合う方法とは?アンガーマネジメント
- 書籍名:「パワハラ防止のための アンガーマネジメント
入門―怒り、イライラのコントロールで、職場は変わる!
成果が上がる!」 - 著者名:小林浩志
最近、「キレる」高齢者が増えていると言われています。
高齢者というのは、65歳以上の人を指します。
これまでは、人間も60歳になれば人格円満になると言われていました。
孔子も「論語」の中で、「六十にして耳順う(したがう)」と、60歳になると他人の意見に反発を感じず、素直に耳を傾けられるようになると言っています。
しかし、実際はそのようにはなっておらず、国の統計によれば高齢者の暴行による摘発は、10年前から四倍以上増えているそうです。
驚くべきペースです。
些細なことでも怒りにまかせて、歯止めのかからない行動を取ってしまうようです。
我々は、怒りとどう付き合えばいいのでしょうか。
目次
アンガーマネジメントとは
アメリカでは、アンガーマネジメントという考え方があります。
怒り(アンガー)を管理する(マネジメント)とは、「怒らなくなること」ではなく、怒りの感情と「上手につきあう」ことを意味しています。
日本でも「一般社団法人日本アンガーマネジメント協会」という団体がアンガーマネジメントの普及のために、企業研修や講師養成などの活動を展開してます。
最近は職場における「パワハラ」や「モラハラ」「ソーハラ=ソーシャルハラスメント」などが問題とされており、マネジャーによる正しい組織管理を習得させるという点でも注目されていようです。
アンガーマネジメントは、怒りが生じた時にその怒りと向き合う対処法と、怒りが生じないようにセルフコントロール技術から構成されています。
あくまでも他人を変えるのではなく、自分を変えることを主眼としています。
怒りはなぜ起きるのか
中国のツィッターと呼ばれる「新浪微博(ウェイボー)」の投稿内容を、悲しみ、嫌悪、喜び、怒りの四つの感情に分類してその影響力を調査したところ、怒りの感情がもっとも早くかつ広く拡散することが判明しました。
著者によれば、人はなぜ怒るかというと、自らの体といった物理的な要素だけでなく、自尊心、名誉、信念などの心理的な要素が危険にさらされたり、裏切られたりした時に怒りの感情が表れると言っています。
怒りというのは、怒りそのものがいきなり発生するのではなく、ある感情がきっかけになって発生すると言われています。
それは、不安、ストレス、悲しみ、妬み、苦痛、身体的な辛さ、自分の弱さ、絶望感、悲観などネガティブな感情です。
これを第一次感情と呼び、怒りはこの感情が契機になるので、「第二次感情(セカンダリー・エモーション)」と呼ばれます。
人は、怒っていることが伝わらないと感じたら、余計に怒鳴ります。
それは「怒ればなんとかなる」「怒ったほうが相手に響く」と信じているからです。
また、特に怒りが身近な人に向かいやすい傾向があります。
その理由は、「身近なところにいる人は、コントロールしやすい」という思い込みがあるからです。
怒りとどう付き合うか
それでは、怒りをどのようにコントロールすればいいでしょうか。
この書籍で紹介されている怒りの対処方法は、次のようなものがあります。
- 「過去」と「他人」は「変えられない」という考える
- 有酸素運動をしてリラックスする(有酸素運動により脳からエンドルフィン、セロトニンが放出されて、ストレスが緩和される)
- カチンときたら、数を1から6までゆっくり数える(怒りの感情のピークは長くても6秒だといわれている)
- 「Youメッセージ」ではなく、「I(私)メッセージ」を使う(「あなたが◯◯だ」と相手を評価するのではなく、「私は○○と思う」と自分の気持ちを素直に話す)
- イライラを「書いて」「見える化」し、怒りの「クセ」を知る
最後に
いかがでしたか。
古代ギリシアの数学者で哲学者あるピタゴラスは、「怒りは無謀をもって始まり、後悔をもって終わる」と言っています。
自分もちょっとしたことで不機嫌になったりすることがよくあります。
他人事とは思わず、自分も怒りをコントロールして、穏やかな生活が送れるようにしたいものです。
最近、ちょっと怒りっぽくなったなと心当たりのある人にはおすすめの一冊です。