プロジェクトとは何か。私的プロジェクト概論
最近、あるプロジェクトが終わったのですが、最後のミーティングの時に「一言挨拶を」
と言われました。
何を話そうかといろいろと考えて、次のようなことを話しました。
目次
プロジェクトとは変わることへの挑戦だ!
これまで数多くのプロジェクトに参加してきました。
企業の事業戦略を作ったり、組織再編をしたりと取り組んだ課題は様々した。
プロジェクトマネジメントの教科書を見るとプロジェクトとは、「独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期性のある業務」と定義されていますが、よく「プロジェクトとは何ですか」と聞かれた時の答えとしては、いまひとつピンとこないところがあります。
しかし、改めてプロジェクトとは何かを考えたときに、目の前の課題は違えども根底に流れているコンセプトには共通していると思います。
それは、「変わる」ということです。
事業戦略にせよ、組織再編にせよ、プロジェクトでははこれまでとは違う「何か」を求めて組織が変化することを意味しています。
この変わるということが、人にとっては最も困難なことの一つです。
つまり、人間というのは「変わらないことを好む」性質があるのです。
この特徴をホメオスタシスと呼びますが、ホメオスタシスとは生体をより長く生きながらえさせるために、生体の安定的な状態を維持する恒常性維持機能のことを指します。
プロジェクトとはこの変わりたくないという人間の本質に対する大いなる挑戦であり、だからこそ上手くいくプロジェクトもあれば、そうでない結果になるプロジェクトもあり、コンサルタントとして常に成長の場を提供してくれます。
しかし、プロジェクトはコンサルタント一人でできるものではなく、バックグランドの異なる人たちのチームが、英知を集め、汗を流し、努力をするからこそ、成功したときの喜びや達成感は何事にも変えられない醍醐味があります。
総論賛成、各論反対
プロジェクトにおけるホメオスタシスの一例が「総論賛成、各論反対」という態度です。
例えば、営業力を改善するプロジェクトがあったとします。
販売実績を分析した結果、売上の上位20%の顧客が、全体の売上の80%を構成しているということが分りました。いわゆる「パレートの法則(20:80の法則)」というやつです。
その結果にもとづいて、営業マンの行動計画(時間配分)を見直すことになり、売上上位の顧客にはより多くの時間を割き、逆に売上の下位の顧客は投入時間を削減する(例えば、訪問はせずに電話で済ませるなど)という方針案が作成されました。
活動の中心である営業部門の全員がこの方針案の狙いや意味合いを理解し、方針案に従って行動することが決定しました。
しかし、実際には決定した内容通りには進んでおらず、営業マンの行動が最適化されていないことがその後に判明しました。
担当の営業に聞いてみると次のような返答が返ってきました。
「方針の内容は全くその通りだと思うのですが、このお客さんは昔からの付き合いも長く、訪問をしなくなるとお客さんが困ると思います。決定内容を強行に進めると期初に立てた自分の計画が達成できなくなるんですけど、それでもいいですか」
最後に
いかがでしたか。
変えるというのは、ある意味で組織に強い力を掛けることで、変わることのできない人にとっては、プロジェクトはストレスやいやなことにしか感じられません。
しかし、その変化とうまく折り合いをつけたり、利用することで、個人として変わることへの耐性が身につくのです。